薬剤師オイカのブログ

ヘルスケア情報と調剤薬局向けの情報を発信しています

重複投薬・相互作用防止加算とは

こんにちは♪薬剤師oicaです

今回は調剤報酬の重複投薬・相互作用防止加算について説明していきます!

 

  1. 算定要件
  2. 本加算の点数と算定の意義
  3. 算定可能例

この順序で話を進めていきます。

 

重複投薬・相互作用防止加算の算定要件

薬剤服用歴等又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で処方医に対して照会を行い処方に変更が行われた場合に算定する(処方箋受付1回につき)

わかりやすく言うと

  • 残薬調整
  • 併用薬との重複投薬
  • 併用薬、飲食物等との相互作用
  • アレルギー歴や副作用歴、病歴
  • 薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長となった場合

などで本加算の算定が可能です。

 

重複投薬・相互作用防止加算の点数と算定の意義

  • 残薬調整に係るものの場合:30点
  • 残薬調整に係るもの以外の場合:40点

*在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を算定している場合は在宅患者重複投薬・相互作用防止加算を算定する。

点数としては大きくないですが、昨今薬局業界で叫ばれている残薬解消、対人業務への移行を考えると積極的に算定していくべき内容となっています。残薬は薬の適正使用や医療費の観点から社会問題の一つとなっており、厚生労働省の資料によると年間500億円程度の残薬があると言われています。

残薬が発生する理由としては

  • 飲み忘れや服用量の間違い
  • 患者の自己判断での服用中止又は減量
  • 処方変更時に余る薬が発生

などがあり、薬局での聞き取りもしくは患家への訪問により状況を確認することで残薬解消に寄与することができると考えられます。

そして併用薬や副作用歴、アレルギー歴などの患者情報に基づいた疑義照会や患者さんごとの背景を考慮してその方に合った処方設計を行うこと。これぞまさしく対人業務と呼べる内容です。この加算を継続算定していくことはちゃんと対人業務を実施していますよ!という実績にもなると思います。

また地域支援体制加算2・3・4の実績要件にもなっています。

 

算定可能例

残薬調整に係るもの以外(40点算定)ついて例をあげて解説していきます。

*前提として

  • 処方医に疑義照会を実施し処方変更があった場合に算定できる
  • 処方箋受付1回ごとに算定できる

処方例A:重複  ムコダイン錠250mg6T毎食後5日分

気管支拡張症で他院にてムコダイン錠500mg3Tを毎食後で定期服用しているため、ムコダイン錠250mgの削除と他薬への変更について疑義照会

変更後処方:ムコソルバンL錠45mg1T朝食後5日

処方例B:飲食物 カルブロック錠8mg1T朝食後14日分

グレープフルーツジュースを毎朝服用しており過度な降圧効果発現が懸念されるため疑義照会

変更後処方:アムロジピン錠5mg1T朝食後14日分

処方例C:病歴 ゼスラン錠3mg2T朝夕食後14日分

閉塞隅角緑内障で治療中であり、ゼスランの抗コリン作用により眼圧を上昇させる恐れがあるため疑義照会

変更後処方:アレグラ錠60mg2T朝夕食後14日

処方例D:年齢 サイレース錠2mg1T就寝前7日分

年齢82歳の患者であり、高齢者には上限1回1mgとなっているため疑義照会

変更後処方:サイレース錠1mg1T就寝前7日分

処方例E:服薬困難 バルトレックス錠500mg6T分3毎食後7日分

嚥下困難があり大きな錠剤は飲み込めないとのことなので、疑義照会でバルトレックス顆粒への変更を提案

変更後処方:バルトレックス顆粒50%2g分3毎食後7日分

処方例F:薬剤の追加 ロキソニン錠60mg3T毎食後14日分

胃潰瘍の既往歴があるため、疑義照会で胃薬の追加を提案

変更後処方:ロキソニン錠60mg3T毎食後14日分、タケプロンOD錠15mg1T夕食後14日分

処方例G:投与期間の延長 ジスロマック錠250mg2T夕食後3日分、ミヤBM錠3T毎食後3日分

抗生剤で下痢を起こしやすい患者であるため、疑義照会しミヤBMの処方日数延長を提案

変更後処方:ジスロマック錠250mg2T夕食後3日分、ミヤBM錠3T毎食後7日分

 

下記は要件を満たしていないため算定不可となりますので、注意してください!

  • 保険薬局の備蓄に関する時
  • 単純な処方入力ミスや処方漏れ

 

補足:支払基金からの連絡事項

重複投薬・相互作用防止加算を算定する際、レセプト記載に関する通知では、特に処方変更内容を記載することまでは求めていません。ただし、削除した内容についてわかりにくいと判断される場合があるので「摘要」欄にコメント記載を願います。

記載例:

  • 残薬があるので、〇〇の処方削除
  • ⬜︎⬜︎病院から△△が処方されているので、〇〇の処方削除